バブルがもたらす土地価格の高騰について

土地をはじめとする不動産の価格は、景気動向や需給バランスなどの様々な要因によって、時代によって大きく上下します。通常は、土地の価値を反映して一定範囲の中で価格が動くことになるのですが、まれにそこから大きく逸脱して理論的に説明することが困難なほどに高騰することがあります。

一般にバブルと呼ばれるこの現象について、以下では過去の事例とその原因について見ていくことにします。

バブルとはどういった現象か?

まず最初に、バブルとはどのような現象を言うのかについて見ておくことにしましょう。一般的には資産が本来有する価値を大きく逸脱して取引価格が形成される事態をバブルと呼びます。そのため、対象資産は必ずしも土地である必要はありません。

実際、歴史上はじめてバブルとなったのはチューリップの球根であるとされており、近年ではビットコインをはじめとする仮想通貨が、理論上は説明できないほど高い金額で売買されています。

日本におけるバブルとは?

日本においても、過去に大小さまざまなバブルが発生していますが、その中でも「バブル経済」といった場合に多くの人が思い浮かべるのは、1980年代後半から1990年代前半にかけて形成された不動産バブルではないでしょうか。

1987年には1平方メートルあたり105万円ほどであった東京の住宅地における平均価格は、翌年の1988年には120万円ほどと15パーセント弱上昇し、続く1989年には135万円とさらに10パーセント以上高騰しています。

その後、1991年にかけては130万円ほどで横ばいとなりましたが、そこから一気に下落し、1996年には60万円弱とピーク時の半額以下の水準へと落ち込むことになりました。

それ以降も価格はゆるやかに下落を続け、最終的に底を打ったのは2004年になってからのことです。

バブル経済の原因

この日本における不動産バブルの遠因となったのは、1985年のプラザ合意です。当時、日本からのハイテク製品の輸出攻勢にしびれを切らしたアメリカが日本政府に対して円高ドル安となる為替政策を強行に主張し、これを日本が受け入れたことで急激に円高が進むことになりました。

そのような状況にもかかわらず、日本銀行が公定歩合の引き上げを決定したことから、それまでハイテク景気を享受していた日本経済は一気に不景気に沈むことになります。そして、その事態にあわてた日銀が打ち出したのが公定歩合の引下げによる金融緩和政策でした。

これによって景気は息を吹き返すのですが、その後も緩和政策が維持されたことによって金余りの状況が生じ、そのような大量のマネーが不動産市場に流れ込んだ結果、本来の価値を無視したかのような価格が形成されることになったという訳です。

バブル崩壊の原因

では、このバブル経済はなぜ崩壊することになったのでしょうか。直接の原因となったのは、土地価格の高騰を懸念した政府によって導入された総量規制と金利の引き上げです。総量規制というのは、大蔵省が打ち出したもので、貸出全体の伸び率より不動産の貸し出しの伸び率を低くするよう銀行を指導することによって、不動産市場に流入するマネーの流れを弱めようとするものです。

これに加えて、金利が引き上げられたことで、住宅ローン金利も上昇し、これまでのように低金利で借金することが困難となりました。これらはいずれも土地価格の高騰を抑える効果がある政策なのですが、その影響度合いを見極めないままに大規模に実施したことによって、効き目が出過ぎて土地価格が一気に下落し、景気を急速に悪化させることになりました。

バブル崩壊の影響

バブル崩壊の影響は、短期間では終息せず、結果的には失われた20年と言われるように日本経済を大きく下振れさせることになりました。少子高齢化が進む中にあって、企業の収益力もなかなか回復する兆しを見せず、中国などの新興国の急速な台頭によって、日本の国際競争力は大幅に落ち込むことになりました。

なかでも経済にとって大きな痛手となったのは、デフレ経済が長期にわたって継続したことで、それによって消費者の財布のひもが固くなったことで、GDPが一向に増加傾向にならずに世界の中で日本だけが成長しないような状況が生み出されることになってしまったという訳です。

バブルは悪なのか?

このように日本においてはバブル経済は経済にとって非常な悪影響をもたらした悪い現象と考えられがちです。しかしながら、結局はバブルも資本主義経済における一つの現象に過ぎず、それをいたずらに悪と断定することにそれほど意味はありません。

むしろ、バブルに関して重要なのは、それを発生させないようにすることよりも、発生した場合にいかにしてハードランディングさせないようにするかということです。日本の場合には対応を誤ったため、ハードランディングさせて多くの大企業が倒産するような悲惨な事態を招くことになりましたが、うまくソフトランディングさせることができていれば、早期に景気回復局面が到来してそこまで大きく経済が痛むことはなかったのではないでしょうか。

実際、アメリカなどでは、ITバブルなど定期的にバブルが発生して崩壊しているにもかかわらず、比較的短期間に危機的状況を脱してその後はバブル前よりも経済が拡大するといった好循環が生まれています。それを見ると、必ずしもバブルを悪と決めつけることはできないのではないでしょうか。